今回の講師は月刊『WiLL』編集長の花田紀凱氏。「編集者は接客業」をテーマに、人と会う事の重要性や人間関係の築き方について、編集者として自身の経験から学んだ事を熱く語っていただいた。 人間関係が財産になる
私が尊敬する人物の1人で文藝春秋の元編集長で社長にもなった田中健五という方がいます。彼は現役時代「1日3人に会う」というのがモットーでした。しかもただ会うだけでなく、3人に会ってある程度話を聞くのです。私も田中の下で仕事をしていたので、1日1人くらいは新しい人に会って話を聞こうとしていました。1日1人と出会えば、休みを除いて1年が300日くらいとすると300人、50年かけても1万5,000人しか会えません。今の地球の人口が64億人とすると、1人の人との出会いというのは30万分の1の奇跡的な出会いなのです。 私は42年間編集者をしていましたから、色々な人に会いました。その1人に作家の池波正太郎さんがいます。池波さんは原稿の完成が他の作家の方より早い。他の作家の方は締切が近くになるまで原稿に手をつけていないことがあるので、遊びや飲みに行くことを禁止して原稿が書けるまでホテルに缶詰にしなければいけないこともありました。しかし池波さんは締切の1週間前に原稿が出来上がってくるのです。なぜそんなに早いかというと、池波さんはせっかちだからです。年賀状を夏くらいから書き始める程せっかちな方なのです(笑)。そんな池波さんの代表作の中に『鬼平犯科帳』があります。これは池波さんにお願いした時代劇特集の短編小説が面白くて、その小説の中に出てくる長谷川平蔵を主人公にした連載作品です。連載後、本が出て、ドラマ化、映画化までされる作品になったのですが、連載する際に私が悩んだのはタイトルでした。ある日、新聞の広告で見かけた「犯科帳」という言葉を真似して『鬼平犯科帳』というタイトルをつけました。それが好評でそのままタイトルが決まったのです。
人間関係の基本はギブ&テイクだという事です。まずはギブです。ギブするものがなければテイクはありません。例えば、誰かに「何か面白い話はないですか」という電話を毎回かけても、「特に無い」と断られるのがオチです。しかし、その人のところへ電話なり会いに行くなりして、物や情報、何でも良いのでこちらがギブをします。すると相手は「こちらも何かギブできないかな」と思うのです。こうしたまずはギブしようという思いがなければ人間関係は長続きしませんし広がりません。このようにギブするためにも、情報を持っていなければいけないので、情報を得るために、人に会い、好奇心を広げていかなければなりません。ですから皆さんも好奇心を持ち、色々な人と会い、人間関係を広げていってください。
第53回しがくセミナー「編集者は接客業」
第52回しがくセミナー「人生で大切なことは海の上で学んだ」
第51回しがくセミナー「チャレンジは終わらない」
第50回しがくセミナー「日本の生きる道 自分の生きる道」
第49回しがくセミナー「国防とマスメディア」
代表の室舘が語る「今若者に求められる人間力」とは? 「人間力」と言っても社会では明確な定義がある訳ではありませんし、目に見えるものでもありません。私達は「人間力」を社会で活躍していくための人として総合力であるとし、5つの徳性を人間力の要素と定義いたしました...